横浜イングリッシュガーデン 公式ブログ

かのやの想い

皆さん、GW(ゴールデン・ウィーク)を満喫しているでしょうか?今年は暖冬の影響もあり、横浜イングリッシュガーデンでは例年よりバラの開花が早く、既に早生品種は見頃を迎えています。しかし世の中には当たり前のようにGWにバラを楽しめるバラ園があります。それは鹿児島県鹿屋市にある「かのやばら園」です。

かのやばら園と私のご縁の始まりは、かれこれ数年前に遡ります。イベントのゲストに呼んでいただいたのがきっかけなのですが、その時の私は「なぜバラの開花期前に・・・?」と思いました。疑問を持ちながら現地に着くと、私を驚かせたのは美しく咲き誇るバラ達でした。さすがは南国、私の想像以上の早い時期に開花が始まっていたのです。それ以来、私は何度か鹿屋に呼んでいただくことになりますが、いずれの年もGWにバラを楽しめ、私にとっては恒例の「先取りバラ」になりました。
そんなある日、かのやばら園と横浜イングリッシュガーデンの「友好ガーデン」を造りたいというお申し出を、私は頂戴しました。大変に有り難いお話であり、もちろん快諾しました。しかし実際に始めてみると、横浜とは異なる雨の多い地に、はたして美しい庭が造れるのだろうか…と?と不安を感じるようになりました。何と言っても鹿屋市の年間降水量は横浜市の約1.4倍で、大雨の続いた昨年は約2.2倍の雨が降りました。それだけでなく夏から秋には強力な台風が何度も襲来します。心配しながらも2015年初冬から工事は始まり、いくつかのトラブルが発生したものの多くの植物達は成長し、約1年強の養生期間を経てこの度「友好ガーデン」をお披露目できることとなりました。
庭を造る際にはしばしば「想い」を込めますが、私は友好ガーデンを造るにあたって、いくつかの「想い」を込めました。それぞれの土地を愛する「想い」として、横浜を表す ‘横浜緋桜’と鹿屋の近隣で栽培される ‘桜島こみかん’(ギネスに登録される世界最小のミカン)を植えました。いずれもまだ小さな苗ではありますが、これらの苗は両ガーデンの交流を見つめながら、やがて大きく成長していくことでしょう。さらにもう一つ、今回のお申し出に対する私の感謝の「想い」として‘サラマンダー’という新品種のバラを提供させていただきました。「サラマンダー」とは社会で広く認知される「火の精霊」の名前です。鹿屋市の近くには桜島という火山がありますが、人々はこの山を恐れるのではなく尊敬の念や親しみをもって向き合っています。火を噴くイメージの色合いのバラに、桜島と共に生きる人々の「想い」を重ね、この名としました。(実はそのまま「桜島」と命名したかったのですが、既に同名の優れたバラが存在するのです・・・。)

2016年4月に熊本県と大分県で大きな震災がありました。世の中で自粛ムードが漂う中、隣県の惨事を目の当たりにしたかのやばら園では、あえて「かのやばら祭り2016春」を開催することにしたそうです。賛否両論があるとは思いますが、少しでも明るい話題を届けたいという「想い」からです。厳しい気象条件の地で雨にもめげずに咲くバラのように、悲しみを味わった人の心にもいつの日か花が咲いて欲しい・・・そう想わずにはいられないです。バラを育てるには困難の多い南九州の鹿屋。この地において少人数で頑張っているバラ園は、決してパーフェクトな姿ではないかもしれませんが、携わる人たちの「想い」を強く感じます。もしもお近くに行く機会があれば、ぜひ立ち寄っていただき「かのやの想い」を直接感じとっていただけたらと思います。

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