横浜イングリッシュガーデン 公式ブログ

紫陽花 ~梅雨の華~

「週1回を目標に・・・」と言ってはいたものの、さすがにバラのシーズンはめちゃくちゃ忙しくて、結局バラについてのブログは書くことができませんでした・・・。(大いに反省) 今後バラに関しては、画像をはさみながら時々紹介したいと思います。

さて慌しくしているうちに季節は進み、ガーデンではアジサイの花が美しく咲いています。私が子供の頃は、アジサイはこんなに華やかな花ではありませんでした。当時目にしていたアジサイは、祖父母の家にあった私が「ボケアジサイ」と呼んでいたアジサイに、家に植えてあった綺麗な青のアジサイ、近所で見かけた西洋アジサイ、そしてガクアジサイと呼ばれているものくらいだったでしょうか・・・。アジサイについての知識を得た今では、ここに並べたアジサイの言葉には沢山の誤りがあることが分かります。子供の頃のエピソードを交えて、今回はアジサイについて少し書いてみたいと思います。

さて私が「ボケアジサイ」と呼んでいたアジサイは、色は淡青色~淡桃色のテマリ咲き(一般的なアジサイのイメージの咲き方で、花房全体が装飾花で覆われる)で、その冴えない色が何となく気に入らず「ボケアジサイ」と呼んでいました。枝や葉は大きめで大株に生育し、しばしば邪魔者扱いされ、適期でない時期に剪定していたこともあり、花が咲かない年もありました。

勉強してから分かったことは、このアジサイは‘ホンアジサイ’という広く栽培されている園芸品種で、伊豆半島などに自生する野性のガクアジサイの中から見出されたと考えられる突然変異の個体です。‘ホンアジサイ’はシーボルトによって西欧に持ち帰られ、シーボルトの日本人妻の名にちなみヨーロッパでは‘オタクサ’(お滝さん)と呼ばれ、多くの園芸品種の交配親になったとされます。ガーデンでは里帰りした‘オタクサ’を植えています。私の子供の頃の記憶の通りで大株に育つので、小さなお庭にはお勧めできませんが、歴史的な意味合いでも価値の高いアジサイです。無知とは恐ろしいもので、私はこの日本が誇るべきアジサイを「ボケアジサイ」と呼んでいたのです。(笑)

<オタクサ>オタクサ
そして私の庭にあった綺麗なアジサイは‘ヒメアジサイ’と呼ばれるアジサイです。どのようにして成立したのかがよく分からない園芸品種ですが、花色が鮮明な水色で、葉も‘ホンアジサイ’よりも小ぶりで上品な印象です。このアジサイは鎌倉の明月院に多く植えられていることでも知られ、アジサイの中でも早咲きで、遅咲きのバラとの競演が楽しめます。 ‘ヒメアジサイ’も同様に西欧に持ち込まれ、ヨーロッパのアルカリ土壌では花色がピンクになるため、‘ロゼア’という名で呼ばれています。
<ヒメアジサイ>そして「西洋アジサイ」ですが、これは日本のアジサイがヨーロッパで改良されて里帰りした際に、それらの園芸品種達を「西洋アジサイ」と呼びました。そもそもこの言葉は、あたかも欧州にアジサイが自生しているかのように思わせるので、適切な使い方ではないです。1980年代後半以降は日本国内で優れた園芸品種が続々と作出され、今日流通する華やかな品種の大半は国産品種になりました。そのことからも、もはや「西洋アジサイ」という言葉は死語にすべきでしょう。

 

<国産品種の先駆けとなった‘ミセス・クミコ’>

「ガクアジサイ」という言葉もしばしば誤った使い方をされています。私は子供の頃に、「ガクアジサイ」とは「ガクブチ咲きのアジサイ」(テマリ咲きとは異なり花房の周囲に装飾花が付く咲き方)の総称だと思っていました。しかし、これは大きな誤りです。ガクアジサイとは野性のアジサイの一種類の名前であり、ガクアジサイは現在の園芸品種のベースとなった重要な種です。伊豆半島や伊豆諸島、房総半島の一部、三浦半島の一部と非常に限られた地域に自生する植物です。ガクアジサイとガクブチ咲きのアジサイはしばしば混同されていることもあり、野性のアジサイにガクアジサイという種類があることは意外と知られておらず、同じく野性のヤマアジサイに比べると知名度が極めて低いです。

<野性のガクアジサイ>

アジサイに関してはまだまだ書き足りないのですが、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。ブログの内容も含め、アジサイに関する様々な話を6月19日(日)午後1時30分~行う予定です。お時間のある方はぜひガーデンにお越しください。

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